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2021年末まで堅調だった世界の株式市場ですが、2022年は年初から下落局面に入り、さらにはロシアのウクライナ侵攻による原油や小麦などの高騰からインフレ懸念と、不安定なマーケット環境が続いています。

このような状況が続くと、心が穏やかではなくなり、保有している株式を売却してしまおう、損切りしてしまおう、と考えられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、そういった局面こそ、「何のために株式へ投資を行っているのか」という、ご自身の投資の目的について改めて考えてみてはいかがでしょうか?

  1. 資産価格の変動が気になってしまう方
  2. 自身の資産運用の方針に悩んでいる方
横田 健一 よこた けんいち

ファイナンシャルプランナー

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株式へ投資する目的は楽しむための趣味ですか、長期的な資産形成ですか?

株式投資というと、個別株式への投資をイメージされる方も多いと思いますが、本記事では個別株のみならず、株式を対象とした投資信託などへの投資も含めて広い意味で株式投資という言葉を使うことにします。そのように株式投資を広い意味で捉えた場合、皆さまが株式投資を行う目的は何でしょうか。

どの企業の株式が儲かりそうか、企業・財務分析をしたり、株価のチャートを見ながら買うべきタイミングを見計らったり、ハラハラ・ドキドキしながら、楽しむための株式投資という考え方もあると思います。一方、インデックスファンドと呼ばれる比較的シンプルな投資信託を使って、毎月コツコツと積み立てながら行う株式投資もあります。

つまり、同じ「株式投資」と言っても、その目的が趣味として楽しむためなのか、ライフプランに沿って長期的な資産形成のために行うものなのかによって適切な投資商品やスタイルなどが大きく異なってくるのです。

ドライブを楽しむためのクルマと、移動手段としてのクルマ

ここでいったん株式投資から離れて、クルマの例で考えてみたいと思います。

同じクルマと言っても、趣味としてドライブや旅行など「クルマに乗ること」自体を楽しむために利用することもあれば、通勤や通学など移動することが目的でクルマを利用する方もいると思います。

目的が趣味であれば、見た目や乗り心地などを重視して選ばれるかもしれません。一方、移動手段として考えた場合には機能性や耐久性、燃費などのコストパフォーマンスを重視して選ぶことでしょう。つまり、同じクルマだとしても、目的に応じて適切なクルマは異なってくるわけです。

「趣味としての株式投資」と「資産形成としての株式投資」

再び株式投資の話に戻りますが、このような観点から、趣味として楽しむための株式投資と、長期的な資産形成としての株式投資として、大きく2つに分けて考えてみたいと思います。

次の表は筆者が考える「趣味としての株式投資」と、「資産形成としての株式投資」の違いをまとめたものです。

趣味として株式投資を楽しむためには、ハラハラ、ドキドキするような刺激的な要素が欠かせませんが、仮に大きな損失が出たとしても日常生活や長期の資産形成に影響のない範囲で行っていくことが大切です。一方、資産形成が目的の場合、手取り収入の1~2割程度を目安に毎月積み立て投資を行うことになり、特に面白みはないかと思います。一度設定して仕組み化してしまえば、特段手間もかかりません。

また、趣味として取り組む場合には個別株式や、ブル型やベア型の投資信託など、値動きの激しいものを対象に、買ったり売ったりといったスタイルで行うこともあるでしょう。一方、資産形成として取り組む場合には、基本的に分散投資を行うことでリスクを抑え、現役時代はひたすら積み立てながら資産を形成し、引退後は逆に定期的に取り崩しながら生活に使っていくというスタイルになるかと思います。

最近は株式投資についての情報収集を、YouTube や Twitter といった SNS などで行う方も増えており、様々な情報が手軽に入手できるようになっています。しかし、そういった情報に触れ過ぎると、様々な意見に流されて、ご自身の方向性がブレてしまう可能性もあります。

投資することの目的を今一度確認し、その上で、「資産形成のためのお金」と、「趣味として株式投資を楽しむためのお金」を明確に区別して管理していただくことが大切です。

長期投資に向いている資産への投資と、価格が値動きする資産を対象とした投機

資産形成を行っていく際には投資と投機をしっかりと区別しておくことが大切です。一般的に投資と投機は混同されやすく、区別されていない部分もあると思いますが、筆者は次のように考えています。

まず投資は長期的に付加価値を生み出す資産、例えば株式や不動産などを対象として長期的にお金を投じていく行為です。一方、投機は価格が変動する資産に対して、その値動きを追いかけながら安く買って高く売ることで利益をあげようとする行為です。

株式はその企業が毎年ビジネスを行うことで利益を生み出しますし、不動産は家賃収入を生み出します。その結果、資産の価値は基本的に右肩上がりに上昇していきます。しかし、その価格は、必ずしも価値の通りに動くわけではありませんので、短期的には本来の価値から大きく乖離してしまうこともあります。

「投資」における資産の価値と価格のイメージ

一方、金(ゴールド)の塊を1 kg 購入したとしましょう。30 年間保有していたら、3kg に増加するでしょうか? 価値は変わらず、変動するのは価格だけです。30 年後に上がっているかもしれませんが、下がっているかもしれません。金を含めた貴金属や暗号資産などについても同じことが言えます。

「投機」における資産の価値と価格のイメージ

ただし、金などのコモディティと呼ばれるものを保有しておくと、インフレの局面においては価格が上昇していきますので、購買力を維持していくという目的では一定の効果があるのも事実です。

投資の目的、投機との違いを理解して適切な資産形成を

長期的な資産形成が大切だとわかっていても、「もっと儲かるものはないか」「いつ買ったらもっと儲かるだろうか」などといつの間にか「もっともっと」を追求する投資スタイルになってしまっている方もいるかもしれません。また長期投資と言っても、適切な資産を選択しておかないと、必ずしも時間は味方になってくれず、思ったほど資産が増えていかないといった場合もあるでしょう。

株式投資のみならず、資産形成のための投資についてはその目的を明確にした上で、投資と投機の違いを区別しながら、適切に資産形成に取り組んでいただければと考えています。

横田 健一 よこた けんいち
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ファイナンシャルプランナー

収入を2倍、3倍にするのは容易なことではありませんが、目の前にある自分のお金や時間を、より有意義に、より有益に使っていくことはそれほど難しいことではありません。 より多くの方に、貴重なお金や時間をウェルスペント(well spent)して頂き、より幸せな人生を送って頂きたい、という思いから、社名をウェルスペントと致しました。 一人でも多くの方に、人生の最期で「有意義な人生だったなぁ」と感じて頂けるよう、お金・資産形成の面から、皆様のお役に立てればと考えております。

大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。YouTube「資産形成ハンドブック」配信中