「人生100年時代」をむかえ、両親もしくは自身の老後の住まいについて不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。理想の老後を実現するためには、「どこに住むか」は非常に重要なポイントと言えます。老後の住まいを選ぶ上で知っておきたいポイントについて、FPとして数多くの住まいに関する相談を受けた経験を持つ峰尾茂克氏に、話を聞きました。
ファイナンシャルプランナーとしての業務の中で、老後の住まいについて相談を受けることは多いです。相談の内容としては、お子様から「両親の住まいをどうすべきか」というケースと、ご本人から「子どもに迷惑をかけたくないのだが、どうしたら良いか」というケースの両方がありますね。
60 代を過ぎて退職したぐらいのタイミングで、夫婦で高齢者施設を利用したほうが「子どもへの負担が少ないのではないか」と考える人も多いようです。また、最近では単身者の方から相談を受けることもあります。一人暮らしの場合、食生活が偏りやすくなるため、健康寿命(制限なく日常生活を健康的に過ごすことができる期間)延伸の観点から高齢者施設という選択肢を検討する人も増えてきているように思います。
ただ一方で、「親の足が不自由になってしまった」「転勤が決まって両親の近くでサポートできなくなった」など、十分に検討する期間を持つことができない状況になってから相談にくる方が多いという問題があります。一口に「高齢者施設」といっても、ニーズによって、サービス付き高齢者向け住宅、介護付き有料老人ホーム、グループホームなどと様々な種類があるので、できるだけ早くから情報収集をしていただいて、十分な選択肢の中から適切なものを選んでほしいと思います。
また、高齢者施設の入居を検討する場合、現在お住まいの自宅という資産を活用して資金を作るというケースも出てくるでしょう。その場合でもやはり十分な時間があった方が、よい選択肢を選びやすくなると思います。売却するにしても賃貸に出すにしても、余裕をもって判断できたほうがよいでしょう。
自宅での介護という選択肢を考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、様々なハードルがあることは理解しておくべきだと思います。 平成 30 年の生命保険文化センターの調査によると、介護に必要な費用は約 500 万円前後となっています。詳細を見てみると、リフォームなどの一時的な費用が約 69 万円、そして介護期間が約 4 年 7 ヶ月で月々の費用が 7.8 万円です。
また、平均寿命と健康寿命に差を見てみると、令和元年時点で男性は約 9 年、女性は約 12 年となっています。つまり、実際に介護が発生する期間は、長くなる可能性が高いのです。私の実感としても、500 万では資金が不足する可能性も高いと思います。そのため、資金面については事前にしっかりとシミュレーションしておく必要があるでしょう。
これらに加えて、メンタル面の問題にも注意する必要があると思います。自宅で介護を続けると、精神的に余裕がなくなってしまうケースも多いです。自分の心に余裕がなければ、誰かに優しくすることはできません。そのため、親には安心できる施設に入ってもらったほうが双方にとって幸せというケースも多いと思います。介護でストレスをためてしまい親子の関係が崩れてしまうようでは本末転倒ではないでしょうか。
繰り返しになりますが、老後については、こうした情報を踏まえて、ご家族で可能な限り早く準備をしていただきたいと思います。選択肢が限定された状態で自宅介護を選ばざるを得ない状況になってしまうとトラブルが起きる可能性も高まります。私が多くの方から相談を受けていて感じるのは皆さん、正常性バイアスというか「うちの家庭だけは大丈夫」「自分の身の回りには、そういうことが起きない」と考えてらっしゃる部分があります。ただ、「いつまで健康でいられるか」は誰にもわかりません。だからこそ早めの準備が重要なのです。
こうしたテーマは、相続などと同じで「元気なうちは言い出しづらい」という問題があると思います。そういう場合にこそファイナンシャルプランナーを活用していただきたいですね。家族以外の第三者から話題に出してもらうことで、お互い話しやすくなる部分もあるのではないでしょうか。ただ、税理士や弁護士だとハードルが高いと思いますので、そういう意味でもファイナンシャルプランナーが適切でしょう。
「この日に、ファイナンシャルプランナーさんが来るから一緒に話さない」という形であれば親子や夫婦の間で声をかけやすくなると思いますし、自身の望む老後についても相談しやすくなるのではないでしょうか。そして、そのような機会を持つことで、将来相続が起こったときにも役立ちます。
また介護にかかる費用は、個々人の所得や介護の段階(自立〜要介護 5)、利用する施設によって異なります。また、施設ごとに特徴がありますので、介護保険適用の可否も含めた費用面だけでなく、施設の特性なども踏まえて選ぶとよいでしょう。
よく理想の生き方として「ピンピンコロリ(PPK)」ということが言われます。これは寝たきり状態などになることなく亡くなる直前まで元気に過ごして、天寿をまっとうする様子を現しています。しかし、実際は先程も申し上げた通り、平均寿命と健康寿命には男性で約 9 年、女性で約 12 年の差があります。周囲に迷惑をかけず、PPK を実践するという理想の老後を過ごすためには、「健康寿命を延伸することで、平均寿命との差をいかに埋めていくか」が重要だと思います。その意味では、健康寿命を延伸させるようなサポートを提供している施設を選ぶというのも重要なポイントになるのではないでしょうか。
また、寝たきりなどの状態になってしまうと、選択肢も限られますし、介護の負担も増えてしまいます。初期コストが高くなったとしても、最終的に PPK が実現するならば、寝たきり状態になってしまうよりも、結果的に全体の負担は抑えることもできるケースもあるでしょう。だからこそ「人生 100 年時代」において、高齢施設を選ぶ場合には、短期的なコストだけじゃなくて長期的なコストまで考慮に入れて判断することが重要だと思いますね。
ジェイ・エス・ビーグループの高齢者向け住宅
株式会社ジェイ・エス・ビー エリアマネージャー
株式会社ジェイ・エス・ビーが運営するグランメゾン迎賓館シリーズは、シニアのためのハイグレードレジデンスです。認知症や介護が必要なった場合でも、利用者の皆様が安心して快適な暮らしが送れるよう上質な住環境と介護・医療の連携による様々なサポートを提供しています。
特に当社では皆様が長く、元気に暮らすことができるように「健康寿命の延伸」にこだわった運営をしています。具体的には、ウェルネスプログラムという会員制の介護予防事業を行うなどの活動をしています。一部住宅で行われている、このプログラムの中では様々な機器を用いた個別の運動プログラムや、グループフィットネス、リラクゼーションを週1回2時間程度行っています。このプログラムは、多くの利用者の皆様に共感していただき、積極的に取り組んでもらっていますし、施設によっては施設利用者だけでなく、地域の方々にもご利用いただけるようになっています。さらに、弊社が提供している栄養価の高い食事ともマッチしており、適度な運動とバランスの良い食事による「フレイル予防(※)」の効果が期待できます。
※フレイル:健康な状態と要介護状態の中間を意味し、身体・認知機能の低下が見られる状態
こうしたプログラムの他にも、オリンピックで注目を集めたボッチャという競技やeスポーツ、季節ごとに野菜を植える菜園の運営、ライブラリースペースの充実など部屋にこもりきりになってしまう時間をできるだけ少なくできるように様々なアクティビティを提供しています。こうしたアクティビティを通じて、利用者の皆様に生きがいを感じてもらえるよう、スタッフ一同取り組んでいます。
実際の利用者の方々から、「部屋に閉じこもりがちにならずに済む」と好評を得ていますし、ご家族の方々からも「入居前に感じていた不安が解消された」というお声をいただくことが多いです。これまでの高齢者住宅には、「入居すると運動ができなくなり足腰が弱って気づいたら寝たきりなどになってしまう」といったイメージをお持ちの方も多いのですが、当社の施設に入っていただくことで元気になるケースも少なくありません。
施設への入居を検討されている方のほとんどは、「自身の足腰がちょっと弱くなってきた」「いざという時、両親が離れた場所に住んでいると不安」といったように「何らかの課題」を感じています。そのため私たちは、入居前にヒアリングシートなどを使って皆様が抱えている課題を明確にした上で、我々がどのような形で支援できるか、ということをご説明させていただきます。
高齢者施設選びというのは、利用者にとっての「終のすみか」を決める重要な決断かと思います。そのため、見学の際にも自分の思い描くライフスタイルが実現できるかどうかをイメージした上で、ご本人様やご家族様にあった施設を選んでいただきたいと思います。入居を検討されている方々のライフスタイルに合った施設かどうかというのは、やはり実際に見学してみないとわからないと思います。なので、まずは気軽に資料請求や見学の申し込みをしていただきたいですね。
ジェイ・エス・ビーグループの高齢者向け住宅