余暇の充実のさせ方~オーストラリアから学ぶ、ライフスタイルと資産形成のヒント 第3回~

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第1回・第2回では、オーストラリアの制度と実例、老齢年金と不動産の活用より、私たち日本人の資産形成のヒントを考えました。今回は、オーストラリア人の時間の使い方から、ライフスタイルのヒントを考えていきたいと思います。

オーストラリアのライフスタイル

オーストラリアでもライフスタイルは人それぞれですが、一つの生活設計のあり方として、ある程度若い年齢で住宅を購入し、老後までに保有して住宅ローンを返済し、その後は趣味や庭いじり、家族や友人とのパーティーを楽しむといった考えがありました。

一戸建てを所有している場合は、その広い土地を活かしてバーベキューパーティーなどをよく開いています。日本でもいまはよく見かけるオージービーフですが、特大のステーキを惜しげもなく焼いて、ビールやワインを片手に話に花をさかせます。

金曜日ともなるとあちこちでパーティーが開かれ、夜遅くまでやっていることもよくあります。

日本の感覚でいうと、大きな声でのおしゃべりは近所迷惑になるのではないかとかなり気をもむこともありましたが、そこはお互い様のようで、かなりおおらかな許容範囲になっているようです。

さすがに深夜にまで及ぶと、度が過ぎるといわれてしまうこともあるようですが、そこもお互いあっけらかんとしていました。

一戸建ての土地がない場合でも、公園に電動のバーベキュー装置が設置されて、無料で自由に使えるようになっているところもあり、何とも手厚いサービスだなと感心したこともありました。

マンションにも、共用部にバーベキュー設備があるところが多くありました。 それぐらいバーベキュー文化は根付いているのだと思います。ただ、この状況はこのコロナの騒動で一変した面もあるようです。

コロナへの対応

オーストラリアでは日本よりも厳しいロックダウンが実施され、基本的に外出禁止で州によっては州境で軍や警察を導入した検問を行い、違反した場合5,000ドル(約40万円)の罰金が科せられるなどの法律が制定され、実際に徴収された人もいたようです。

オーストラリアの印象としてはおおらかで、自由が基本的価値観の中心にある国ですが、ここまで自由を制限するという点に少し驚きました。ウイルスという大きなリスクと対峙するうえでは、迅速かつ徹底的な政策をとっています。

また、教育面ではオンラインを活用した授業や、IT の連絡網などいちはやく対応していると聞きました。

一方、日本では学校が何ヶ月もただの休みとなったり、開発途上国並みの IT 導入率であるといった記事や FAX ベースの情報管理など、あまりにもガラパゴス化が進んでいたことに現状と将来への大きな不安を感じたところです。

特にコロナ発生の当初、日本の対策が小さいうえに遅いと批判があがっていましたが、諸外国の多くの先進事例から良いところは徹底的に分析、吸収して次の危機に備えたほうがいいでしょう。

広大な庭の活用

オーストラリアの庭では、広い土地を活用して花やハーブ、果物を育てたり、倉庫にはさまざまな日曜大工用の工具があったりします。オーストラリアでは DIY がさかんで、できるものは何でも自分でやってしまう方が多くいらっしゃる印象があります。

今の状況は変わっているかもしれませんが、工事会社への発注で日程が延期になることはしょっちゅうで、スケジュール的な面や工事の完成度といったところを、日本のような細やかさで期待してはいけないとよく聞きました。

その割に価格も安くはないので、それならば自分でやってしまおうという人も多いのかもしれません。そのためか工事会社に頼むよりもうまいんじゃないかと思う人が結構いて感心します。この日曜大工は趣味と実益を兼ねているともいえ、老後の趣味や生活費の削減にもつながっているようにも見えます。

釣りやゴルフ、その他の趣味

その他、オーストラリアの都市は海沿いを中心に発展しているため、海岸に比較的近く、釣りを趣味としている人も多くいました。私もオーストラリアにいるときに釣りにはまり、きれいな海岸沿いでチヌ、クロダイ、コチ、ヒラマサなど日本ではまず釣れないであろうサイズの魚をたくさん釣り上げました。

ボートに乗せてもらえる機会も多くあったのですが、これまた巨大なカニがよくとれて、濃厚なカニ味噌がスプーンで何杯もすくえるほど一匹のカニに詰まっていて、もういらないと飽きるまで食べました。釣った魚の一部はこれまたバーベキューの食材となります。

ピクニックでは、ビールを片手に盛り上がります。スポーツでは、ゴルフ場も多くあり、安いところでは年会費十数万円でプレイし放題みたいなゴルフ場もありました。スポーツクラブに通うくらいの金額です。中には早朝から毎日ラウンドしていて、趣味が健康につながっているというような方もいらっしゃいました。

私も日本では経験したことがありませんでしたが、向こうに行ってゴルフを始めました。早朝の暗い時間からスタートして、9ホール回って始業時間の8時30分にそのままオフィスへ直行するといったこともありました。そんなことも可能で随分健康的な生活だなとこれも驚いたことの一つです。

また、私の中学校からの友人がたまたまオーストラリアに移住しているのですが、現地の学校で先生をやりながら土地付きの一戸建てと、投資用の不動産も購入しています。それらの不動産はまさに第2回の記事でお伝えしたような上昇率で価格が上がっているとのことです。

さらに、趣味の面ではその豊富な余暇時間を活用して、空手と柔道をはじめました。しまいには、黒帯になってその広い庭に柔道場を建てて、現地の子どもたちに柔道を教えたりしていました。まず日本にいたら考えられなかったライフスタイルだと本人も言っていました。

時間の感覚の違い

日本との決定的な違いを感じたことの一つは、時間の感覚です。

多くの店は17時ぴったりに店を閉めるので、仕事が終わった後で行こうということができなかったりします。経営者ではない一般オフィスの従業員は、驚くほどきっちりと17時に仕事を終えるので、仕事は順序だてて整理しておく必要があります。

17時までに仕事が終わらなかったらどうするかというと、残業して何とか間に合わせるということもまずないので、翌営業日に持ち越されます。依頼される方もする方も、時間は厳守なため、効率的に働かざるをえないのだろうと思います。

そのためオンとオフの区別も明確で、日本と比べると家族との時間や趣味、私生活の関心事にあてることのできる時間が十分あるということが言えます。どちらも充実させることができれば、人生としてはより豊かになるのでしょうし、仕事場だけでは得られない新しい発想も生まれそうではないでしょうか。

効率悪く長時間働くことは、仕事と私生活の両方を犠牲にしているとも言えます。

コロナを機に、今まで当たり前と思っていたことがそうではないということに気付かされたことも多かったと思います。今までこうだったからという思い込みは、大胆に切り捨て変えていくことも大事ではないかと痛切に感じます。

オーストラリアは、歴史的には浅いですが、その分柔軟性が高いように思います。平均年齢が若いというところも関係するかもしれません。

日本はよく独自の進化を遂げたガラパゴスに例えられますが、ダーウィンの進化論によれば生き残る種は強い種ではなく、変化に対応できる種だといいます。

ほとんどのことが、やる気さえあれば自動化で置き換えることができるような時代に変わっていますので、これからは自動でできる部分は徹底的にソフトや機械にまかせて、本当に代えがきかない労働や付加価値を高める部分に、人や時間を集中させていく必要があるのだろうと思います。

みなさんにはまだまだ長い現役と老後の時間の中で、ぜひ気持ちは若く持ち続けていただければと思います。良いところは柔軟に取り入れながら、変化を受け入れることでライフスタイルの幅が広がり、より人生を楽しめるのではないかと思っています。

まとめ

国が異なると、年金や税金などの制度や資産設計の考え方や方法、ライフスタイルなど全く異なることに驚いたり感心したりすることがあります。

今回、オーストラリアの制度やライフスタイルをお話ししてまいりましたが、日本にも良いところがたくさんあることにも気付きます。日本は、外からのさまざまな刺激を得て変化を取り入れながらこれまで発展してきましたが、それはこれからも大事なのだろうと思います。

日本の良いところはそのままに、海外から学べることは学ぶことでよりよい日本の社会を形成でき、その中で個人の理想とするライフスタイルもより早く達成できるのではないかと思います。

ぜひ、ともに理想とするライフスタイルの実現を目指していきましょう!

藤本 崇
藤本 崇 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

オーストラリアでファイナンシャルプランナーとしてスタートし、不動産、金融、保険業界等の実務を通して数百件以上の相談にのってまいりました。 知らない間に政策や経済環境などによって変わっていることは様々あります。 日々の生活では気づかない別の選択肢があることをファイナンシャルプランニングを通して知っていただき、よりよい選択をしていただくために全力で応援してまいります!

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