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LIFULL 人生設計

多様なライフスタイルが当たり前になりつつある現代では、将来的に必要になるお金は早いうちから準備することが大切です。経済的な自立を目指す女性であれば資産形成は特別なことではなく、むしろ当たり前にすべきことと言えるでしょう。

特に、自由に生きていたいおひとりさま女性にとっては、「お金のパートナー」と一緒に資産形成を行うハイブリット資産形成がおすすめです。この記事では攻めと守りの両方を意識した、「ハイブリット資産形術」について解説します。

黒須 かおり くろす かおり

ファイナンシャル・プランナーCFP

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おひとりさまだからこそ考えたい未来のお金

1 人で自由に生きていくためには、十分なお金が必要です。働いている時であれば毎月のお給料の中から好きな額を好きなことに使うことができますが、定年退職を迎えた後であれば同じようにお金を使うのは難しいかもしれません。特に高収入な女性ほどは、支出も多区なる傾向にあり、定年退職を迎えた後も同じような生活をしたいと思うのであれば、それなりの準備も必要です。

おひとりさまの場合、自分の収入だけしか頼りになるものはありません。そして、現在の収入が定年退職までずっと続くとも限りません。そのため、おひとりさまのマネープランでは攻めと守りのバランスを重視した資産形成が有効なのです。今回は、自分の収入から積み立てる「攻め」と、サポートしてくれる「お金のパートナー」を使った「守り」のハイブリッド資産形成術について解説していきます。

老後のための資産形成の基本(攻め)は積み立て投資

老後の資金を準備するには、時間を味方につけた積立投資の仕組みを使うといいでしょう。資金計画を立てるときに限らず、達成したいことがある場合、ゴールを想定して、計画をしていきます。資産形成するときも同じで、順番が重要です。

目標額を決める

老後に必要となる資金がわからないため、なんとなく貯金しているという人もいるでしょう。確かに、資金が多ければ多いほど安心するかもしれません。しかし、現実には、収入の中から積立をしてくいため、収入以上の金額を積立することはできません。さらに、将来のことも大切ですが、現在の生活や趣味なども充実させたいと考えるのが一般的でしょう。

そのため、将来必要になるであろう金額を決めて、ゴールまでの時間から逆算して毎月の積立金額を決めていきます。将来必要になる金額は、人それぞれ違いますが、今回は参考までに平均値をもとに考えていきます。

老後の生活を支える主な収入源は公的年金です。加入している年金の制度によって受け取れる金額などに違いはありますが、会社員の人であれば 65 歳から厚生年金を受け取ることができます。50 歳以上の人であれば年金定期便を見ることで将来の見込み額を知ることができ、50 歳未満の人でも、日本年金機構の「年金ネット」を使えば将来の見込み額を確認することができます。

厚生労働省の令和 2 年度、厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、厚生年金保険受給者の老齢年金の月額は 14 万 6,000 円です。一方、支出については、将来どのような暮らしをするかによって金額は異なりますが、ここでは今の生活水準と同じ生活をした場合を考えてみましょう。

支出は、総務省の家計調査(家計収支編)2021 年の男女,年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出を参考にします。この家計調査によると、女性の 60 歳未満の勤労単身世帯の 1 ヶ月の支出は税金や社会保険を含めて約 24 万円です。ただしこの調査の中では住居費が約2万 7,000 円となっているため、現在賃貸で暮らしている人は、それ以上の支出があるかもしれません。

なお、年齢を重ねていくと、生活にかかる費用は減少するかもしれませんが、医療費や交通費などが増える可能性もあることも認識しておいた方が良いでしょう。

目標額を達成するために必要な積立額を試算する

こうしたデータに基づいて試算すると、想定される支出と受け取れる年金の差額が約 10 万円となります、つまり、毎月 10 万円ずつ資産を取り崩して生活費にすることができれば現在と同程度の生活はできるということになります。65 歳から 90 歳まで生きると仮定すると、25 年間では約 3,000 万円必要という計算です。いきなり 3,000 万円の資金を準備することはできませんが、時間をかければ可能です。

例えば、現在 35 歳なら定年までの準備期間は 30 年ありますので、単純に逆算すると毎月約8万円 3000 円を積立すれば準備できます。しかし、毎月のお給料の中から8万円以上を貯金することは簡単なことではありません。そこで、投資信託などで年間想定利回り3%で資産運用をすれば毎月の積立額は5万 2000 円に減少します。この額ならば、少し現実的な金額になってきたのではないでしょうか。

このように時間と資産運用の力を使えば、目標にぐっと近くことができます。しかし、積立投資は預貯金のように元本が保証されているわけではありません。株価の変動により、資産が減少してしまう可能性もあります。そういったリスクを減少させるためにも、積立投資は有効です。積立投資は、株価が上がっても下がっても、感情に左右されることなく、定期的に投資信託を購入します。長期にわたって積立投資を行うことで、購入のタイミングを分散し、資産が減少するリスクをある程度軽減することができるのです。

こうした特性を持つ積立投資も期間が短いとリスクの軽減効果が思うように働かないこともあります。そのため最低でも 10 年以上続けることを心がけると良いでしょう。

「守りの資産形成」としての不動産投資

自分のお給料の中から積立投資をするのは基本ですが、人生はどんなことが起こるかわかりません。急にお給料が減ってしまったり、体調を崩して退職せざるを得ない状況になることもあるかもしれません。万が一の時や、病気などに備えて保険に加入している人も多いと思いますが、保険は人生を守るための仕組みです。資産形成にも同じように守りの仕組みを加えて攻めと守りのハイブリットで考えるとよいでしょう。

守りの資産形成の一つに、不動産投資が挙げられます。不動産投資は、簡単に説明すると、不動産を購入し、その物件を賃貸にすることで家賃収入を得る仕組みです。不動産を購入すると言っても、現金で購入するわけではありません。多くの場合は銀行から資金の借り入れを行って購入します。ハイブリッド資産形成術における「お金のパートナー」というのは、不動産投資の資金を融資してくれる銀行のことなのです。

ローンの返済金額と、家賃収入の差額が利益となりますが、管理会社に支払う手数料や、積立修繕金、管理費、固定資産税などを含めると支払いの方が多くなり、収入がプラスにならないというケースもあります。しかし、プラスにならないなら意味がないかと言うと、必ずしもそうとばかりも言えません。なぜなら、不動産のローンを組むときには、団体信用生命保険に加入するからです。

団体信用生命保険に加入していれば、ローンの借主に万が一のことがあった場合、団体信用生命保険から保険金が銀行に支払われ、ローンの残高がゼロになります。最近では、死亡したときだけでなく、がんや三大疾病など特定の病気になった時も、保険金が支払われる団体信用生命保険もあります。おひとり様の場合、遺族への保障というよりは、がんや病気になった時、支払いが免除になることのメリットの方が大きいでしょう。

病気になり、収入が減少したとしてもローンがなくなり家賃収入があれば、減少した収入を補うこともできるでしょう。つまり、不動産を持つということは、活用法次第では、保険の効果、守りの効果もあるのです。その上、ローンの返済期間が終われば、家賃収入がそのまま利益となります。例えば 30 歳のとき不動産を購入して 65 歳で完済すれば、年金以外の収入源ができるのです。また、自分名義の不動産なので、将来的に自分が住むという選択肢を選ぶこともできます。65 歳を迎えて、年金の中から家賃を支払い続けるのは厳しいと思うのであれば、返済が完了した物件に自分で住むことで家賃の支払いをなくすことができます。また、将来、介護付き老人施設に入居しようと思った時も、物件を売却してまとまったお金が手に入れば、入居一時金などにすることもできます。

不動産投資には、空室や価格下落といったリスクがあることも理解しておく必要があります。ただ、これまで解説してきたように、やり方によっては老後の選択肢が増やし、安心感を手に入れるための手段になり得ます。おひとりさま女性にとって、この安心感が手に入るということがとても大きなメリットになるでしょう。

攻めと守りのバランスを意識した資産形成を

老後のお金は、積極的に積み立て投資を行う「攻めの資産形成」と、健康や収入の減少があったときなどに備える「守りの資産形成」をバランス良く行うことで将来への安心感が生まれます。

今回紹介した試算では、将来必要な金額が 3000 万円だとする場合、全額を積立投資で準備するには毎月5万 2000 円必要でした。しかし、仮に定年後に毎月5万円の家賃収入があるとすれば、準備する金額は 1800 万円となり、毎月の積立金額も 3 万 1000 円にまで減少させることができます。

それは現役時代に毎月約2万円自由になるお金が増えることを意味します。このお金で好きなことをしても良いし、自己投資など現在の生活を充実させることに使っても良いでしょう。現在と老後、両方を充実させるために自己資金と他己資金(銀行融資)を使って上手にハイブリットで上手に資産形成していきましょう。

黒須 かおり くろす かおり
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ファイナンシャル・プランナーCFP

ファイナン・シャルプランナー CFP FPラポール株式会社代表取締役。 いつでも相談できる親しみやすいFPを目指し、ひとりひとり異なるマネープランの実現のパートナー。それぞれのライフプランに将来に向けての働き方、資産形成、資産運用などmoneyとキャリアのコンサルティングを行う。資産運用セミナーや金融機関にて資産形成のアドバイザーとして活動。