令和の老後のモデルケースは? 理想とする老後と、そのための準備を考える

日本の高齢化は、これまで人類社会が経験したことがない勢いで進んでいると言われています。この「人生100年時代」を自分らしく生き続けるには、どのような準備が必要なのでしょうか。

また、「人生100年時代」における「理想の老後」とは一体どんなものなのでしょうか?50代後半の男性S・Tさん(都内在住)に、話を聞きました。

S・T さん
  • 都内在住 / 50 代後半男性・技術職
  • 家族構成:奥様、子1人
  • 仕事が好きなので、出来る限り働きたいと考えている。

人生100年時代、「先輩がいない」という不安も

現在は、「人生100年時代」などと言われますが、実際に「100年生きた」という人の意見を聞く機会は少ないので、モデルケースがなく、わからない部分が多いというのが正直なところですね。また、社会制度としての年金もキチンと受けとることができるのかどうかという不安があります。

なので、「とりあえず、この年齢までは確実だ」というような指標があれば良いな、と思います。

資金面以外の部分で言うと、やはり健康ですね。私は、比較的健康な方ですが、それでも「地方に移住して、これまでと違う病院に通うようになると余計な医療費がかかるんじゃないか」といった不安があります。そういう意味では、医療情報のポータブル化などは進んで欲しいと思いますね。

加えて、保険が使いづらく、治療費が高額になりがちな歯の健康などにも注意しなければいけません。これまでの60年近い人生の中でも、物価や家計の構造の変化を感じる機会があったので、そうした将来の不確実性も踏まえてキチンとシミュレーションしなければならないと感じています。

そのため最近では、様々な保険会社の商品に興味を持つようになりました。「60歳から80歳まででも加入できます」というようなアピールは非常に魅力的に感じますね。働き続けるにしても、いつ病気になるかはわからないので、そうした不安を保険でカバーできるとありがたいなと思います。

保障内容やカバーできる部分については、会社によって得意・不得意があるので、個々人にとってベストな保険の掛け方を相談できたりするとありがたいですね。

「令和時代のモデルケース」があって欲しい

先程モデルケースがいないという話をしましたが、自分より年上の方にお話を聞いても、そもそもの認識が違うなと感じることが多いです。「昭和の価値観で考える老後」と「令和の価値観で考える老後」は、全く違うものだと思うので、参考にならないことがほとんどです。

ここ数年、「老後2000万円問題」などが取り沙汰されていますが、「人生100年時代」と言ってもネガティブなトーンの報道が多いですよね。長生きしても幸せとは思えないような世の中になってしまったら、「100年の人生を辛く、心配しながら生きる」ということになってしまいます。

そうではなくて、「100年の人生を、最後まで健康でお金の心配なく過ごすことができるんだ」ということを、カルチャーやエンタテインメントでも描いて欲しいと思います。

そうやって、生き方の見本となって、勇気を与えてくれるようなモデルケースが出てくれば、60歳を過ぎても、元気に働きながら、新しいことにチャレンジする人も増えるのではないでしょうか。そういった健康面・金銭面の心配なく過ごしていけるような「令和の老後のモデルケース」が出てくると良いですね。

「生きた証」として家を残したかった

これは私個人の価値観なのですが、昔から賃貸や分譲ではなく、「家を残したい」という気持ちが強かったんです。これまで賃貸物件などにも暮らしてきましたが、自由に改装できなかったり車庫がないなど、様々な不便がありましたし、家を持つことは「人生の目標」でした。

そのため、現在の住居を購入した時は、そうした不満から解放されると思いましたし、「これを子どもに残したい」と思っています。

現在、独身の娘と同居しているのですが、家のローンはあと数年で終わるので、ベストな形で引き継ぐことができればと考えています。ただ、それが生前贈与になるのか、相続という形になるのかは、まだ深く考えてはいません。娘が結婚するタイミングもわかりませんし、結婚相手がなんと言うかもわかりません。

ただ、希望として、「私の生きた証拠」として今の家を娘に譲りたいという気持ちは持っています。

もし、早く現在の家を引き継げるようならば、仕事を続けながら夫婦でちょっとした地方暮らしなんかもできたらいいなと思いますね。これまでずっと東京で働き、暮らしてきたので、都会の暮らしはもう十分満喫した部分もあるな、と。

一つの地方に定住するというよりも「●●円で日本全国住み放題」のようなサービスを使って、その地域の自然や史跡を楽しみながら、数ヶ月単位で移住をしていくという生き方に憧れています。

また、現在 IT 関連の仕事をしているのですが、これを続けていきたいと思っています。「お金を稼ぐ手段」というわけではなく、純粋に仕事が好きなので、できれば死ぬまで続けていきたいですね。

今はリモートワークが可能なので、仲間と「様々な地域を移動しながら仕事を続けて行けたらいいね」といった話をしています。

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