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Cover Image for リースバックの利用方法と注意点

これまで人生100年時代をテーマに、第1回:『理想の老後資金計画と住宅資産の活用法 ~人生100年時代とリバースモーゲージ~』、第2回:『理想の老後生活を送るためのひとつの選択肢としての不動産投資』について述べてきましたが、今回は、 住宅資産の活用方法のひとつとして、リースバックについて解説していきます。

  1. 老後資金として自宅の活用を考えている方
  2. リースバックについて知りたい方
峰尾 茂克 みねお しげかつ

ファイナンシャルプランナー(CFP)・1級FP技能士・産業能率大学客員教授

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リースバックとは?

リースバックとは、自宅等の資産(不動産)を不動産会社等にいったん売却し、売却後は売却した相手方(不動産会社等)が貸主となり、貸主と賃貸借契約を締結し、借主の立場で、今の住居に住み続ける手法で、いわば、自宅に住み続けながら、自宅を売却し、一時金を手に入れることができる手法(【図 1】参照)です。

今の住居に住み続けながら、老後資金を確保するため、一時金としてまとまったお金を取得したい場合や、老後に残ったローンを返済し、家計の負担を軽くしたいなどの場合の選択肢のひとつといえます。

対象物件については、取扱会社によりそれぞれ異なりますが、土地付き一戸建て、マンションなどの自宅の他に、自宅以外の所有不動産(事務所・店舗・工場など)もリースバックの対象とする会社もあります。また、会社によっては、リースバック利用者が将来「お金」に余裕ができたときに、売却した不動産を買い戻す(再購入)ことができる場合もあります。

既存にローンを抱えている場合でもリースバックの利用は可能なケースもありますが、ローンの残債の額によっては、適用の可否が異なるので、詳細は取扱の会社にお尋ねすることをおすすめします。

リースバックとは
▲【図表1】リースバックとは 出典:THE FPコンサルティング

リースバックとリバースモーゲージの主な共通点と相違点

リースバックとリバースモーゲージとの主な共通点は、老後資金を充実させるための住宅資産の活用法の一つであり、基本的には、遺族に不動産を遺さない点が挙げられます。

主な相違点は、【図表 2】の通り、リバースモーゲージが、自宅(持ち家など)を担保にして、自宅を所有し居住し続けながら老後の『お金』を借りることができる手法であるのに対して、リースバックは、自宅(持ち家など)を売却しながらも、賃借人として現住居に居住し続けながら、一時金としてまとまったお金を取得する点が大きな違いとなります。

リバースモーゲージは、対象となる地域や物件の評価額等の条件が多く、利用できないケースもありますが、リースバックは比較的どのような物件であっても対象となる場合が多い点が特徴です。

【図表 2】リースバックとリバースモーゲージの違い

リースバック リバースモーゲージ
取引 売却(自宅などを売却)
&リース(売却後の自宅を賃借)
不動産担保融資あるいは、
『リバースモーゲージ型』
住宅ローン
資金の返済 不要 必要(死亡後一括返済)
居住中のコスト リース料(家賃)など 借入金利子(ケースによる)
/固定資産税など

リースバック利用にあたっての注意点

リースバック取扱会社は現在、不動産会社やノンバンク、ハウスメーカーなどがあります。リースバック利用者にとっての主な注意点は ① 買取価格、② 買取後の家賃設定、③ 賃貸借契約の内容の3点が挙げられますが、各取扱会社によって内容が異なるため、リ-スバック利用の際には、上記 3 点は特に確認が必要な項目といえます。

➀ 買取価格の注意点

リースバック利用の際の物件の買取価格は会社によって異なります。

一般的に市場価格の7割~ 8 割程度で取引されていることが多いようです。よって、市場価格が 5000 万円の物件であれば、3500 万円から 4000 万円程度が買取価格の相場ということになります。物件の築年数や地域によっても、また会社により査定額が異なるため、リースバックを検討する際には、買取価格について、少なくとも 3 社程度に見積もりを依頼するのがおすすめです。

② 買取後の家賃設定の注意点

買取後の家賃設定については、買取価格とセットで確認することが大切です。 なぜなら、買取価格がいくら高くても、買取後の家賃設定によっては、利用者にとってデメリットにつながる可能性があるからです。 また、買取後の家賃設定の仕方も「市場家賃を基準に家賃設定をする」「物件の買取価格を基準にする」等、様々ですので確認が必要です。

特に「市場家賃を基準に家賃設定をする」以外の方法は注意が必要です。なぜなら、ケースによっては、リースバック利用者が、実質的に市場家賃よりも高いリース料(家賃)を払う場合があるからです。 なお、「物件の買取価格を基準にする」方法は、買取価格の 10%前後で設定するケースが多いようですが、買取先によっても異なるため、この点も併せて確認が必要です。

下記【図表 3】において、リースバックの買取価格と買取後の家賃設定の盲点について記しましたので、ご参照ください。

▼【図表 3】リースバックの「買取価格」と「家賃設定」の盲点

《ケーススタディ》 市場売買価格 5,000 万円 市場賃料(月額)15 万円
買取価格が 7 割 の物件のケース (※更新料など諸費用は除く)
【例1】 買取後の家賃設定が、市場家賃ではなく、買取価格をベースにする場合
買取価格 3500 万円(5,000 万円 ×7 割)
買取後の家賃設定:1 年間のリース料(家賃)が買取価格の仮に 10%のケース
年間リース料(家賃)350 万円 (3500 万円 ×10%)
【月額平均:約 29 万円】
【例 2】 買取後の家賃設定を、市場家賃(月額 15 万円)を基準に設定
買取価格 3500 万円(5,000 万円 ×7 割)
買取後の家賃設定:1 年間のリース料(家賃)は市場家賃
年間リース料(家賃)180 万円
【月額平均:15 万円】

【例 1】と【例 2】を比較すると、物件の買取価格は同額であるものの、買取後の家賃設定が異なるため、利用者にとっては、その後住居費【年間リース料(家賃)】が大きく異なることがわかります。 このように、買取後の家賃設定によっては、一時的に 3,500 万円を取得したとしても、計算上 10 年間で枯渇してしまう(350 万円 ×10 年= 3500 万円)ケースもあります。

③ 賃貸借契約の内容の注意点

リースバックを利用する際の賃貸借契約の形式は、主に「普通借家契約」と「定期借家契約」の 2 通りです。

2 つの契約方法の主な相違点について【図表 4】で具体的にみていきましょう。

▼【図表 4】普通借家契約と定期借家契約の主な相違点

普通借家契約と定期借家契約の主な相違点
■ 普通借家契約 契約の更新:更新可。貸主から借主への更新拒絶には正当事由が必要。
(※実務上居住用賃貸借契約のケースは 2 年ごとに 1 度更新するケースが一般的です。
借主にとっては、一般的に貸主の正当事由がない限り、退去を求められることはありません。)
■ 定期借家契約 契約の更新:更新は不可。
(※契約期間満了で契約は終了となりますが、貸主・借主双方の合意があれば新たに「再 契約」は可能です。)

取扱会社により、賃貸借契約の形式は異なります。一般的な特徴としては、家賃については、「普通借家契約」より「定期借家契約」の物件の方が安く借りることができますが、契約上注意しなければならない点が多々あります。 特に、定期借家契約の場合は、契約期間満了と同時に、引っ越しをする必要があるのか否かを含めて確認が必要と言えるでしょう。

ここで、気をつける必要があることは、よく知らないままに定期借家契約で賃貸しないようにすることです。 国土交通省住宅局「令和 2 年度住宅市場動向調査 報告書」によると、民間賃貸住宅に住み替えた世帯の賃貸契約の種類に関し、「定期借家制度利用」 の借家は 2.5%となっており、民間賃貸住宅に住み替えた世帯における定期借家制度の認知度に関しては、「知っている」と「名前だけは知っている」の合計は 36.1%。「知らない」は 62.9%です。 定期借家契約を利用する場合は、もし老後にお金がなくなったとしたら、どこに住むのかを契約前によく考えてから進める必要があるでしょう。

単純利回りと実質利回り
▲【図表5】定期借家制度の利用 出典:国土交通省住宅局 「令和2年度住宅市場動向調査 報告書」
単純利回りと実質利回り
▲【図表6】定期借家制度の認知 出典:国土交通省住宅局 「令和2年度住宅市場動向調査 報告書」

エピローグ

リースバックは、今の住居に住み続けながら、老後資金を確保するため、一時金としてまとまったお金を取得したい場合や、老後に残ったローンを返済し、家計の負担を軽くしたいなどの場合の選択肢のひとつですが、取扱会社により契約内容が異なりますので、ご検討の際には今回記述したポイントをご参考にしていただければと思います。

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峰尾 茂克 みねお しげかつ
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ファイナンシャルプランナー(CFP)・1級FP技能士・産業能率大学客員教授

人生100年時代を見据えて、今後の老後資金の悩みはもちろんのこと、将来の相続や介護の問題、子供の教育資金、住宅ローンの問題等に至るまで、様々な悩みを抱え、複雑に絡む諸問題に対しどのように向き合ってよいかわからないというお客様が多いのが現状です。 このような諸問題の解決法として考えられることは、お客様のご意向に寄り添いながらも、多角的見地から検証できる分析力と解決法として様々な選択肢をいかにお客様に提供できるかがポイントになります。独立系FP歴25年、個別相談5000件以上の実績から、お客様と一緒に様々な諸問題に対して向き合い、解決法を考えていきたいと思います。是非私にお任せください!